ちっぽけな幸せを君に
 「えと……実は今日転校してきたから、まだクラスわかんないんだけど」


 「あぁ、あなたが噂の――」


 女の子はそこで言葉を濁して、コホンとわざとらしく咳ばらいをした。そして、次に口にした言葉は全く別の事だった。


 「じゃあ今日は大目に見ますけど次はだめですから。職員室はあそこに見える正面玄関を入って右側にあります。早く行った方がいいですよ」


 女の子は校舎を指差して俺にそう促した。


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