bitter chocolate
あわあわと戸惑っていると、私の大好きな声が聞こえ、バラした張本人に話しかけた。

「あっち、行こうぜ」

そして、続けて聞こえた話し声。

…それはとても冷たく
突き刺さるような言葉…。


「…つーかさ、勝手に好きんなられても困るし。俺、今日から愛莉をシカトするわ。」

この言葉の意味をすぐに理解出来なかった。

…え??今…「困る」って言った??
「シカトする」って…言った??


時間が…止まったのかと思った。いっそ、止まってしまえばいい…。
私はしばらく動くことが出来なかった。

好きな…大好きな人から浴びせられた言葉。

私に向けて言っていなくても、耳に届いた確かな声。

向こうで動かないまま固まっている私を心配した友達が私に視線を向けている。
私の好きな人をバラしたあの男子も、振り向きながら私を見ていた。
しかし、私はそのどちらにも気付かなかった。


この時。
私は停止した心の中で静かに思った。

恋がこんなに辛いなら…
もう、恋はしない。


…この時。すぐにこの誓いを破る事になることを
まだ…気付いていない。

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