街角の空 君の歌
至るところに人だかり、
街はクリスマス一色。
そして降り始めた雪。
どこを見ても、イルミネーションが輝き、
幸せそうなカップルが街をキラキラと飾りつける。
笑い合っているカップル、
キスを交わすカップル、
愛情表現は様々な形だ。
そんな幸せそうなカップルの波を無視するかのように、
あたしは人で溢れる道をスタスタと歩く。
目の前はゴチャゴチャなのに、
あたしの頭は邦楽ロックに染められている。
赤の信号に足を止め、あたしは眼鏡をかけ直した。
橋野あきら、高校2年生。
女なのにあきら。
人には“あき”と呼ばれる。
あたしは恋をしたことがない、
でも周りなんて気にしない、
あたしはあたしだから。
恋なんてあたしにはいらないもん。
言い聞かせるように、
青に変わった信号に向かいあたしはまた歩き始めた。