神と人間と使い魔の伝説

｢だっ…誰かいるんですか！｣

ルカは辺りをキョロキョロ見ながら叫ぶ

だが誰もいない

｢上じゃ、上。上をみろ｣

今度は肉声だった

ルカは恐る恐る上をみた。

｢うわぁ！｣

そこには足まである美しい黒髪、赤い瞳、そしてその背には漆黒の翼を持つ女が翼をはためかせながらいる

｢ふふふ、やはり我の姿をみて驚きよったか。｣

女はクスクスと笑いルカを見下す

｢だが、魔術障壁をどう破った？奴が千年も昔にかけた強力な魔術障壁を｣

｢ま…魔術障壁ですか？
そ…そんなの…ありませんでしたよ｣

女の問いに慌てながらも答えた

その答えに女は驚いた様子だった

｢なかったじゃと。おかしいのぉ…
魔術障壁が消えた気配は無いのに｣

と女は急にルカに近づく

(ち…近い…)

ルカの目の前に美しい女性がいる

顔が真っ赤になるのがわかった

｢まぁ、よい。
我は《悲しみの悪魔》と呼ばれておる
名はないが、一応使い魔じゃ｣

と女は言う

｢使い魔…ですか？誰かと契約はしてないんですか？｣

｢そんなもの、とうにきれておる。
大体千年ほど前になぁ｣

《悲しみの悪魔》と名乗った女はカッカと笑いルカを見る

｢何なら、オヌシと契約してもよいぞ！オヌシ、使い魔を連れていないようじゃからのう｣

｢…いえ、いいです｣

女の誘いをきっぱり断った