さよなら
「ゆうちゃん?!」
「あははっ…ごめんなさい。なんか涙がでてきちゃった…」
心配させたくなくて、笑顔になろうと思って笑顔を作ってみせたけど…
慧先輩、あたし上手く笑えてたかな…?
「…ありがとう。」
先輩の手があたしの頬に触れた。
微笑みながら、涙を手で拭いてくれる先輩。
胸がドキドキして
頬から…先輩の手から…
このドキドキが伝わってしまわないか
余計ドキドキしてしまった。
さーちゃん、あたし……
((キーンコーンカーンコーン))
チャイムがなった。
先輩の手が離れた。
次の授業が始まってしまう。
その瞬間、現実にいるのに現実に戻った気がして急に恥ずかしくなってしまった。
あたし、何泣いてるんだよ!
パッと先輩から目をそらしてしまった。
あーまた、あたしの顔は絶対真っ赤だ。
顔を伏せてると、クスクス先輩の笑い声が聞こえた。
「ほらっ二年生は授業でしょ?」
「はっはい…先輩ほんとおめでとうございます!」
「ありがとう。じゃあ、また」
「はい、今日の放課後に…」
顔、洗わなくちゃ。
でも、それどこじゃないドキドキが止まってくれない。
むしろ加速しているかも。
慧先輩…。
先輩は、なんとも思っていないのかな?