さよなら
教室に急いで戻ると、三人が待っていてくれた。

けど、顔が怖い…

怒ってる?


「どーしたの?移動だよね?」


泣いたのバレないようにしなくちゃ…

心配させたくない。

あたしは、急いで移動の準備をし始めた。


「ゆう、ちょっと待って」

「なに?加奈も健も拓ちゃんも…どうしたの?」


おどけたように笑っても三人の表情を硬いまま。


「ゆう、さっき沙希先輩がゆうに会いにきたんだよ。」


そっか、あたしさーちゃんに会いに行くっていったんだよね。

どうしよう…。

皆に嘘ついちゃったことは、変わらないよね…


「えっ…」

「ゆうが教室出てちょっとしてからだよ。」

「ゆう、お前さ俺らに嘘ついたの?」

「えっ…違うよ。その後さーちゃんには会えたから大丈夫!」

「沙希先輩、休み時間中ゆうのこと待ってたんだよ」


「…。」


「ゆう、嘘つかないで」


「……ごめんね。」


「どこいたの?」

「音楽室…」

「なんで?」

「実はね…」



言い終えると、さーちゃんの時と反応は逆!

加奈と健は、ずっとニヤニヤしてるし、拓ちゃんはゲラゲラ笑い始めた。


「そっかぁ♪ゆうがねぇ♪」

「ゆう!お前、可愛いとこあんじゃん。」

「ちょっ、健やめて!」


健に頭をぐしゃぐしゃに撫でまわされる。

それを見ながら加奈はニヤけっぱなし。



「今度、うちらにも紹介してよ♪あんたのバイオリン王子!」

「バイオリン王子ってウケんな~」

「ウケないよ!皆でからかって~だから、言いたくなかったのに」

「ゆうはさ…、そいつのこと好きなの?」


「……わかんない」




わかんない…

ほんとにわかんないの、あたし?


ほんとはわかってる。


自分の大切な気持ち…


先輩、先輩の気持ちが知りたいです。
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