さよなら

大切な君だから知られたくない。

そんなこともあるんだ。





「かーはらちゃん♪」

「…。」

「また、だんまり?」

「それよりさ、持ってきた?」


「…」


「あれ?財布の中にはいれてないのかな?」

「やめろっ」

「うっせーよ。お前が持ってくれば済む話だろ?」

「おいっ」


ガタンッ


思いっきりつき飛ばされる。

息を呑む間もないほどに、こぶしが目の前にあった。

そこから、いつも気を失ってしまう。

何度蹴られ何度踏まれ殴られたのだろうか。

よくわからない。

けど、気を失ってしまうほうがいい。


二年になってから、いじめられている子をかばってからだった。

いじめの対象は、僕になった。

助けてくれようとしてくれた子もいる。

でも、無理だった。

余計、僕へのいじめはエスカレートするだけだって結論になったみたいだ。

誰もいじめられたくなんかない。

僕の代わりなんて、誰もならなくていい。

卒業したら海外へ行くんだ。

我慢できる。



そう思ってた。



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