さよなら


「ゆうちゃんが、希望をくれた。

 
 こんなに嫌だった学校にこようと思ったのも、音楽を始めた時の気持ちも、人を大切に思う気持ちも…アノ子が全部思い出させてくれた。


 今の僕は、アノ子のために学校へきてる。


 ゆうちゃんに会うために…こんな気持ちは始めてなんだ…


 心配かけたくないんだ。


 僕なりにアノ子を守りたい…」







「先輩…」

「ごっごめん!何言ってんだろ…」


顔が熱くなった。

佐川くん相手に何を言ってるんだろ。

恥ずかしい…

急に我に返って佐川くんを見ると、彼は真剣な顔をしていた。



「わかりました。」

「ありがとう」

「なんかあったときは、自分に言ってください。行き帰りは、俺がゆうのこと見てますから。」

「…ありがとう」



ゆうちゃん。

ゆうちゃんには、こんなにいい友達がいるんだね。

よかった。



頼りない自分に、情けなくて


悔しくて


涙がでてきた。




もし、僕が彼のように強くあれたら


僕は普通の高校生活を送れたのかな…



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