さよなら

「はぁ~・・・・」

思わず深いため息をついてしまう。

四階、資料室の前。

なんであたしが…なんて思っても後の祭り。

授業中、拓ちゃんと話してたら何故かあたしだけ怒られて補習で使う資料作りをしろって言われた。

折角、学年末だから学校が早く終わるのに。。

加奈と健は、予備校で拓ちゃんは部活。

なんで一人でこんなこと…。




♪~♪~~



そんな時、また綺麗な音が聞こえてきた。



「あっ・・・」


バイオリンの音は、放課後静まりかえった校内に切なく響く。

そのうち、バイオリンを弾いている者に興味をいだくようになっていった。

どんな人が弾いてるんだろう…。

気付いたらあたしは音楽室の前に立っていた。

緊張で胸の鼓動が、体中響いている感覚に襲われる。

だけど…ソッと音楽室のドアを開けた。





♪~~♪~~♪~~~



綺麗な音色が直に伝わる。

そのまま、音楽室に入りドアにもたれ掛かりながらその音色を聞いていた。

その音色は、綺麗で透き通っていて風のように流れていくようだった。

丁度、一曲終わった所であたしは無意識に拍手をしていた。



「えッ!?・・・誰?」


弾いていた男の人がパッと驚いたように振り返った。


「あッ!・・驚かせてごめんなさいッ」


振り返った人は、身長は高くないけどスラッとしていて肌は透き通るように真っ白で色素の薄い髪の色と同じこげ茶色の大きな瞳が印象的だった。



とっても綺麗な人…

まるで、さっきのバイオリンの音色のように____
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