さよなら

「あの…名前聞いてもいいですか?」


近付きながら聞いてみる。

綺麗な音色を奏でる人にとっても興味を持ったんだ。


「ぼっ僕のコト・・・?」

初めて聞いた声は間の抜けた感じだったけど、すぐにその声が好きになったんだよ。


「貴方しかいないじゃないですか」


「えっ!ぁ、そうだった・・」


なんだか、緊張してあたしの声も震えてしまう。

そういえば、知らない人に自分から話しかけるのって初めてかもしれない。


「あっあたし、2年C組の如月ゆうって言いますっ」

「・・・僕は、華原慧(かはら けい)」


華原慧っていうんだ・・・


「じゃー慧先輩って呼んでいいですか?」

「あ、うんッ」

「あたしの事はゆうって呼んでください!」


あーあたし、何言ってるんだろう。

先輩はキョトンとした顔してるのに。




「うん…あっあのさ、聞いてもいい?」


「・・何ですか?」



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