こちら新宿中央署刑事課
「俺にか?」


 電話を取った巡査の中村に坂野が問う。


「ええ」


「誰から?」


「実は事件当夜の午後八時前に、古河村と一緒に屋上にいた、内多(うちだ)という共犯者のものと思われる指紋が手すりに付いていたと、鑑識の小笠原さんから報告がありまして」


「電話保留にしててくれ。俺が出る」


 坂野がそう言い、近くにあった内線三番のボタンを押して出た。


「はい、坂野」


 ――ああ、サカさん。お疲れ様。鑑識の小笠原です。


「内多って人間の指紋が出たんだって?」


 ――ああ。古河村のものと同じく、べったり付着してたよ。共犯者のものと見て間違いないな。


「俺が今から鑑識に行くから、そのデータ保存しててくれないか?」
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