こちら新宿中央署刑事課
第19章
     19
 坂野はデスクに戻り、淹れていたコーヒーを啜りながら、本庁の所轄署員なら誰もが閲覧できる前歴者データベースの中でもアップデートされている分を見始めた。


 もちろん個別に与えられたIDとパスワードを入力して、である。


 確かに石松貴朗という男が新規に登録されている。


 都内に在住していて、二〇〇九年三月に前島実業を退社した男だ。


 一連の事件の始まりである今年一月の永嶋雄一朗殺害に関与していたのは、ここ新宿中央署でも刑事課に在籍する刑事なら誰もが分かっている。


 なぜ石松が害者の殺害に関与していたのか、理由は分からない。


 刑事課内でも一部のデカが、捜査会議において石松と永嶋の対立を指摘していた。


 二人は主に自社株管理のことで揉めたり、営業に関する方針の違いで割れていたようだ。


 それに石松がビル屋上から落下した永嶋の遺体と同時に落下してきたバッグを物色したのも事実だ。


 データの一部がなくなっていたのは間違いなかった。


 退社後、新宿区内にあるスーパーやコンビニなどの店舗で万引きなどを繰り返していて、
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