こちら新宿中央署刑事課
窃盗の常習犯で通っていた石松ならやりそうなことだ。


 そしてお台場にある倉庫で後頭部を殴打されて死亡していた内多桂三の自宅マンションからは、データの記録されたフラッシュメモリが発見されていた。


 害者の死亡から数日が経過していて、本庁と港南署の合同捜査部隊がガサ入れし、データ類を残らず押収している。


 本庁のデカも捨てたもんじゃないな、と坂野たち所轄の刑事たちも思うようになったし、実際本庁が動かないと一連のヤマは解決しない。


 フラッシュメモリには由自党の派閥の領袖が、選挙敗北後、激減した氷代やモチ代に加えて、マルBを使い上手く巻き上げた裏金の記録が残っていた。


 由自党も哀(あわ)れなものである。


 政権から転落してすってんてんになったのだから……。


 記録媒体に政党の汚職が詰まっていたということを警察がマスコミや国の中枢部である政界関係者に伝えれば、とんでもないことになるだろう。


 政治と金において、未だ根深い汚職が残っていたことになるのだから……。


 それに政治家に対して、献金などをするのは何らかの見返りを期待してなのだし……。

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