こちら新宿中央署刑事課
した永嶋のカバンを物色した石松貴朗は行方を晦ましている。


 それに岩沼がひき逃げされた事件のことも、採取されたタイヤ痕が鑑定されて、新宿ナンバーの普通トラックだったことが確認されていた。


 今という時代、自動車のナンバー読み取りはNシステムを使うのが常識で、すでに逃走車両のナンバーは割り出されている。


 新宿区内でかなりの程度、自由に乗り回されたものと推定されていたし、トラックを運転していたと思われる綾坂恵作がホシだったのは間違いない。


 マル目の証言も得られている。


 似顔絵捜査官を使うのは捜査において原初的なのだが、所轄署が捜査を進めるにはそれしか手がない。


 確かに今回の事件を捜査するために、本庁のプロファイラーも動いてるのだが、彼らは主に犯人像を割り出すのが仕事で一般の捜査員とはガラリと様相が違っている。


 坂野は自分の足で稼ぐ方がいいと思っていた。


 やはり清張のサスペンスを読んで、刑事に憧れて警察社会に入ってきたのだから、そういった昔ながらのデカの習性が身に付いてしまっている。


 前島実業とフロント企業の村川グループは、表面上は繋がってないように見えるのだが、
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