こちら新宿中央署刑事課
 強引に捜査を進めれば、危なっかしいことにもなりかねない。


 いくら検察官が逮捕権を持っているとは言え、マルB相手だと、捜四のデカたちが手助けしないとまずいと思われる。


 いざ、強制捜査に入った段階で何かがあれば、マル暴に手伝ってもらうことも必要だろう。


 坂野はその日の昼前に、新宿にある河北の部屋を訪ねた。


 出入り口をノックすると扉が開いたので、坂野が警察手帳を提示し、


「新宿中央署の坂野です。今よろしいでしょうか?」


 と訊く。


「ええ、まあ……」


 河北は寝起きだったらしく、上下とも部屋着だった。


 それに会社を辞めた後で生活に困っているらしく、ネットで職探しをしているようだ。


「汚い部屋ですけど、どうぞ」


 河北がそう言い、扉を閉める。
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