こちら新宿中央署刑事課
第4章
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十日の夕刻から一晩が明けた十一日の朝、坂野が普通に署に出勤してくると、西谷が、
「サカさん、おはようございます」
と言って、びっしりと書き込んでいた手帳を手元で見ながら口を開く。
「前島恒世は事件当夜、自宅にいたことが確認されています。社に残っていたのは害者と出入り口に常駐している警備員だけだったようです」
「……前島のアリバイは成立か」
坂野が呟き、
「害者の腹部を刺す際に使った凶器はまだ見つかってないのか?」
と言葉を重ねる。
「ええ。まだそこまでは」
「おそらく社内の営業本部で主任を務める永嶋雄一朗が誰かと揉めてたんだろうな」
「その可能性が高いですね。実行犯の一人である古河村比呂氏と、共犯者だった内多桂三が永嶋を殺害し、遺体をビル屋上から階下へと突き落としたと」
十日の夕刻から一晩が明けた十一日の朝、坂野が普通に署に出勤してくると、西谷が、
「サカさん、おはようございます」
と言って、びっしりと書き込んでいた手帳を手元で見ながら口を開く。
「前島恒世は事件当夜、自宅にいたことが確認されています。社に残っていたのは害者と出入り口に常駐している警備員だけだったようです」
「……前島のアリバイは成立か」
坂野が呟き、
「害者の腹部を刺す際に使った凶器はまだ見つかってないのか?」
と言葉を重ねる。
「ええ。まだそこまでは」
「おそらく社内の営業本部で主任を務める永嶋雄一朗が誰かと揉めてたんだろうな」
「その可能性が高いですね。実行犯の一人である古河村比呂氏と、共犯者だった内多桂三が永嶋を殺害し、遺体をビル屋上から階下へと突き落としたと」