こちら新宿中央署刑事課
 前島恒世の企みは正直なところ分からない。


 坂野も岩永も西谷も、そして坂野にサブとして付いている藤野も全く理解できないらしい。


 捜査本部長の西河が、


「こんな変な話に惑わされるな。俺たちが担当するのはあくまで刑事事件だ。民事事件は管轄外だろ」


 と言った。


 坂野たち刑事はデスクへと戻る。


 各々パソコンで前歴者データベースを見続けていると、坂野は改めて思った。


「二つの事件で一番容疑が濃いのは、やっぱし古河村比呂氏と内多桂三だ。それに永嶋殺害時にカバンを物色した石松貴朗はおそらくデータ盗の類だろう」と。


 すると坂野の座っていたデスクの固定が鳴り出す。 


 坂野が受話器を取り、


「はい、新宿中央署刑事課坂野」

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