こちら新宿中央署刑事課
 坂野がそう言って、タバコ入れからタバコを取り出し、銜え込む。


 メインエントランスの隅に喫煙所が設けてあった。


「あちらでどうぞ」


 粕屋がそう言い、坂野に喫煙コーナーへ移動するよう促す。


 坂野は喫煙所まで歩いていくと、タバコの先端に火を点け、吸い始める。


 紫煙が上がり出した。
 

 タバコの火がメラメラと燃え始める。


 一月も終わりで、追って二月へ入っていく。 


 デカたちにとって、二月は何かと退屈な時期だ。


 防犯パトロールなどで街中を見て回ることがあったにしても。


 悪の街、新宿は動き続けている。


 表の顔と、真逆である裏の顔があって。
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