こちら新宿中央署刑事課
 坂野が救急病院へと運ばれ、ICUで治療を受ける。


 どうやら後頭部を鈍器のようなもので殴られていたようだ。


 坂野は奇跡的に一命を取り留め、その夜救急治療室を出て、一般病棟へと移される。
 

 翌朝の午前九時過ぎに坂野が目を覚ますと、岩永と西谷が見舞いに来た。


「全くサカさん。あれだけ注意しとけって言ったじゃないか」


「ああ、すみません、岩永警部補」


 坂野が謝ると、岩永が書き込んでいた警察手帳を捲りながら、


「サカさんを襲った暴漢は、すぐに新宿中央署の署員が取り押さえて身柄を確保した。マル被は新宿区在住の末田友文(ともふみ)、三十歳。村川グループのチンピラだ。殺人未遂及び公務執行妨害で現逮(げんたい)したよ」


 と言った。


「その末田って野郎は、自供したんですか?」


「ああ。警察の取調べには素直に応じてるらしい。ただ、何かと背後にある組織のことを庇(かば)うんだよな。俺にも正直なところ分からんが」

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