こちら新宿中央署刑事課
 坂野はマシーンを立ち上げ、起動させてネットに繋ぐ。


 そして本庁所属の全ての署員に個別に配布されたIDとパスワードを入力し、エンターキーをカツンと押した。


 次の瞬間、前歴者の顔写真や生年月日、特徴などのありとあらゆる情報が載った前歴者データベースが開く。


 末田友文は確かに村川グループのフロントだ。


 企業舎弟である以上、上の人間から言われれば何でもする。


 暴力団のチンピラは使い捨てだ。


 一度使われて用が済めば消されることもあると、一度署の暴力犯係のデカ――マル暴と呼ばれる人間たちだが――に聞かされたことがある。


 坂野は末田がおそらく村川グループの社長である村川寛之から命令されて、今回事実関係を知り尽くしている刑事の自分を殺害する計画を立てたものと思われた。


 こんなことはあいつらから言わせれば、挨拶代わりなのである。


 いつ、第二、第三の末田が出てきて、刑事たちを襲わせるか気が気じゃなかった。


 ケータイは病院内だからまずいので、坂野は岩永と西谷にメールを打つ。
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