こちら新宿中央署刑事課

　参議院での法案等の否決後、衆議院での差し戻し審議と再可決に必要な三分の二である320議席を確保するには、無所属議員や由自党内でも民王党政権に考えの近い議員たちの協力が必要だ。


　だが現時点でそのメドは全く立ってない。


　いや、メドが立つどころか、法案自体一本も通っていないのが現状だ。


　こういったことは朝のニュースや、昼の勤務時間帯などに開いているパソコンなどでのネットニュースで分かる。


　坂野たちは内多が持っていたフラッシュメモリがとても恐ろしいものであることを悟った。


　そして今回のヤマに実は政治が絡んでいるのを感じ取る。


　時は待たずにどんどん先へと進んでいくのだが、捜査の進捗(しんちょく)状況はいまいちだ。


　警察が動き出すことで、件(くだん)の永嶋殺害も岩沼ひき逃げも解決する可能性が高かった。


　ところが警察内でもいろんな情報が飛び交っている。


　特に殺害された内多がまるで自身の名残(なごり)ででもあるかのように一本のフラッシュメモリを残し、それが幸いにも警察の人間の手に渡って、解決がなされようとしているのは管轄区を超えて伝わっていた。