【短】同窓会―episode 3―
「秋山先輩、私、言いましたよね?
タイム抜いたら、言いたい事があるって…。」
「あぁ、言ってたな。」
秋山先輩は、ペットボトルを私に渡すと、こっくりと頷いた。
「ついに抜いたわけ?」
「いや、抜いてないですけど…
気が変わりました。
今言います。」
秋山先輩はふーん、と言って、あたしを見る。
「………あたしは。
…ずっと……。」
いざとなると、中々言葉が出てこない。
黙り込んだあたしを見て、秋山先輩は……。
「……同情?
俺が、可哀相だった?」
予想外のことを、恐ろしく冷たい目をして…言った。
その目に…寒気すらした。
「……お前、俺を、ずっと、可哀相だと思ってたんだな。
施設にいる、可哀相な奴。
あぁ、そうだよ。
俺は親に裏切られ、生きる気力すらねぇ、可哀相な奴なんだよ!」
秋山先輩は恐い目で、こちらを睨んだ。
それは今まで見た事のない、秋山先輩だった。
違う。違うよ、秋山先輩。
そう言おうとしても、口がガタガタ震えているから、声が出ない。
嫌だ、嫌だ。
こんなの、秋山先輩じゃないよ…。