【短】同窓会―episode 3―
普段滅多に泣かないあたしの目に、涙が溜まる。
あたしは、声が出ない変わりに、そっと秋山先輩を抱き締めた。
心のヒビを、隠すように。
幸い、居残り練習だったから、今は私達二人しかいない。
秋山先輩は、驚いたように私を見る。
「違う…秋山先輩。
私は、同情なんかしてない。
初めて会った時から、ずっと、ただ…好きだったんだよ。」
秋山先輩にすがって、子供みたいに大泣きした。
お願いだから、
またあの頃みたいに、
笑って?
「……馬鹿だな、嶋津は……。」
あの時みたいにそう言って、
あの時みたいに、優しく笑った。
少し涙を光らせながら、笑った…秋山先輩。
あぁ…よかった。
心底安堵した。
これで秋山先輩は大丈夫だと、信じきった。
今考えてみれば、確かに、同情もしていたのかもしれない。