【短】同窓会―episode 3―
秋山先輩に初めて会ったのは中学1年生の時。
「お前、反抗期?
一年なのに、生意気だな。」
陸上部の仮入部に来ていた私をみると、
いきなり秋山先輩はそう言って軽く笑ったのだ。
「な…なんですか、生意気って!!」
ムキになって言い返す、私。
「私の方が速く走れるって顔してる。
でも、まぁ一番速いのはこの俺だけどな。」
ふふんと得意げに笑う。
「本当ですかね、先輩みたいな人が?」
秋山先輩はとても真面目に練習するタイプには見えなかった。
今思えばだいぶ生意気な私を、また軽く笑って、
「なら、証拠。
みせるけど?」
と、秋山先輩は言った。
「証拠……」
秋山先輩は、ストップウォッチを持つマネージャーを呼んで、スタートラインに立つ。
「よーい…スタート!!」
マネージャーの声のあと、信じられない光景をみた。
綺麗なフォームのまま、風のように駆け抜ける秋山先輩。
電光石火のごとく、とか言っても嘘にはならないと思う。
それぐらい速くて、人を圧巻させる何かがあった。
あたしは、彼の走りに、強い憧れを抱いた。