【短】同窓会―episode 3―
「嶋津……。
いい加減、諦めろ?」
そう言って笑う秋山先輩を、キッと睨む。
入部して4ヶ月。
真夏の日差しで、私も秋山先輩もこんがりと小麦色の肌をして、いつものように居残り練習。
「あと、一秒じゃないですか。
次こそ、抜きます。」
「お前が一番よく分ってるだろ?
一秒がどれだけデカいか。」
…秋山先輩の言葉は、いつもどすんと、私の心を圧迫する。
「………」
「………今日のところは、これまで。
日も暮れちまうし、帰るぞ。」
秋山先輩はやれやれと首を振って、近くにあったエナメルバックを持つ。
慌てて私も、自分の鞄を手に持って秋山先輩を追いかける。
少しだけ涼しい、夏の夕暮れ時。
ここ最近、秋山先輩に頼んで、居残り練習をしている。
少しでも、あの走りに近付きたくて。
面倒くさがりな秋山先輩には散々文句言われたけど。
それでも、いつも居残って、しかも帰りも送ってくれる秋山先輩は、すごく優しいと思う。
私とは、正反対。