【短】同窓会―episode 3―
「…じゃあ、な。
お前、仮にも1年なんだから、俺が引退したからってふん反りかえるなよ馬鹿。」
10月。
最後の大会で、高成績を修めた秋山先輩も、今日で部活を引退する。
これからは、高校入試に向けて日々勉強するらしい。
「秋山先輩が、勉強ですか?
似合わないー!!」
「おい、黙ってろこの馬鹿。」
最後でも相変わらず、こんなやり取りをしている私。
あの日の悲しい目は、今のところ見ていない。
今だって、本当に楽しそうに笑ってる。
それがなにより、嬉しかった。
「秋山先輩。
私、秋山先輩のタイム、絶対抜きますから。
その時は、覚悟してください、言いたい事があります。」
そう言うと、ふふんと、あの時のように笑った、秋山先輩。
「まぁ、せいぜい頑張れ?
生意気な馬鹿後輩ちゃん。」
太陽に照らされ、秋山先輩の顔は輝いてみえた。
やはりグランドが、よく似合う、秋山先輩。
絶対タイムを抜いて、言うんだ。
私は、貴方の走りが、笑顔が、優しさが。いや…全てが。
ずっと、好きなんだって。