*Rainy*
───……‥
「オチアイくん?」
「あっはい!!…すみません。ぼーっとしてしまいました。」
社内でもイケメン部長として騒がれる隣の彼。けっこう若いのに、かなりのやり手らしい…。
「どうした?オチアイくんが珍しいじゃないか。」
「緊張してしまって、昨日なかなか寝付けなかったんですよ。」
社会人になって、私は多少の嘘を覚えた。
それにしても最悪。
恋愛に仕事を左右されるなんて、私社会人失格だよ。
もっとしっかりしなきゃ。
「ハッハ。若いねオチアイくん。」
「はぁ…まぁ。」
私はタクシーの中、部長にばれないように自分の太ももをつねって気合いを入れた。