メンドーをおかけシマス
「沙南?沙南じゃない?」

後ろから沙南を呼ぶ声がする。

沙南は、
びくっと肩を震わせてから、
あわてて涙をぬぐうと、
後ろをふり向いた。

「奈々美・・・」

そこには、 奈々美が立っていた。

「沙南、どうしたの?
泣いてるの?」

優しい奈々美の声に、
また涙があふれそうになる。

「なんでもないよ・・・」

私は、それだけ言うのが、
精一杯だった。

奈々美は、
何にも言わずに
沙南の隣のブランコに
腰掛けた。

二つの影がならんで揺れた。
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