メンドーをおかけシマス
しばらく、
二つの影は、 揺れ続けていた。

ぎぃっこっ、ぎぃっこっ。

交代で揺れるブランコを
こぐ音だけが、
誰もいない公園に響いていた。

しばらくして、
奈々美が沈黙を破って
話しかけてきた。

「沙南、この前はありがとねっ。」

「えっ?」

沙南は、
お礼の意味がわからず
奈々美をみつめた。

「祥平にさ、
手紙、渡してくれたでしょ?
祥平からは、
なんの返事もないけど、
自分のキモチ伝えられたからっ。
だから、ありがと。」

にこっと笑って話す奈々美を
沙南は見れなかった。

私、奈々美の手紙、
祥平に渡してない・・・

あの手紙、どうしよう・・・
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