愛しいあの子は私の兄 !?


ベッドから飛び起きて
愛犬“ちとせ(ちぃ)”を
踏み付けそうになりながら
洗面所に走る。

顔を手早く洗い、
スッピンとは別人になる
ギャルメイクを済ませて
今度は制服を取りに
疾風の如く部屋に戻る

シャツを着てスカートを履き
リボンを形良く結び
ニーハイを履いて
カーデを羽織って

全身鏡に向かって
飛び切りの笑顔を作る

『 よし 、今日こそ ! 』


5kgはあるだろう
スクバを肩に掛け
キッチンに降りれば

昨日と同じお父さんの
耳に響く叫びに近い言葉

「また遅刻だろう?
どうせなら朝ご飯食べなさい」

そんな父の言葉を聞き流して
トーストだけ鷹の様に
かっさらい
玄関へ向かう


『ゴメンっ ちぃ
散歩はまた後でね !
お父さん、行ってきまーす !』

皿を抱え未だに
「ご飯を食べなさい」
と叫ぶお父さんと
散歩に連れていけと
言う様に盛んに吠える
ちぃを家に残して

私は学校への通学路を走る
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