愛しいあの子は私の兄 !?

その後の練習中も、
ゴールを決める度
『ナイッシュー!井上くぅん!!』
と私が手を振る

すると井上くんは
笑いはしないものの
恥ずかしそうに
私の方をちらりと見るんだ

あぁ…私、今凄く幸せかも…

なんてぽわぽわしてる内に
始業のチャイムが鳴る

あ…やばい
教室行かなきゃ …

そうやってグランドを
後にしようとした
私の肩に何か重みが掛かる

驚いて振り返ると
そこにはさっきまで
練習していて
汗だくの井上くん


『い、井上くん…』

井上くんは黙って
私の手を取り
小さな紙切れを握らせると
走って部室へ行ってしまった


井上くんの姿が
見えなくなると
私はそっと紙切れを開いてみる

そこには井上くんの
男の子らしい元気で、
それでいて何処か
素っ気無い様な文字が
綴られていた


“放課後、屋上で待ってる”


たった11文字の言葉で
私は嬉しくなって
スキップで教室に向かった
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