学園Princess
………
「なに、うかない顔
してんだ?」
静かに
散りゆく
桜の風音だけで
私以外 誰もいなかった
空間に 響く声。
その声の主は
『竜也?』
「久しぶり!
で? なに、うかない顔
してんだ?」
私の顔を
覗き込みながら
尋ねる彼。
もちろん
《貴方の事を
想ってた。》
なんて
言えない私は
『もう。
桜も終わっちゃうな…
って。』
と 話題を少しかえた。
「もう
4月も
おわるからなぁ。
寂しい?」
『えっ?』
一瞬、私の気持ちを
読み取られたと
思ったけど
「桜…
散っちゃって
寂しい?」
{良かった。
気づかれてはない…}
そう思いながら
『少し…
私、桜 好きだから。
でも…
桜は来年も見れる。
だから
少し、我慢かな…』
{来年は
竜也と こうやって
話し 出来るのかな…
今は 同じクラス
だけど
来年は違うかも
しれない。
そしたら
もう 話せないのかな。}
そう 考えたら
ちょっとだけ
目頭があつくなった。