学園Princess
「どぉしたの?
愛梨?」
「うん!
どうかした?
愛梨ちゃん。」
『刺繍(ししゅう)…』
「刺繍?」
はぁ?って顔で
ゆみが聞き返して
くる。
「刺繍って?
何が?」
海夏も不思議そうに
聞き返してくる。
『あのね。
あのハンカチに
刺繍がしてあったの。
ムーンダストの。』
「む、
ムーン…ダス…ト?」
『うん。
あのハンカチに
ムーンダストの
刺繍してあったんだ。
だから
大切な物だと
思う…。』
「あのさぁ。
そのムーンダストの
刺繍がある。
イコール
あのハンカチが
大切っていう
方程式が
どうやったら
できるの?」
「うん。
私もそう思うな。
だって
あのハンカチの
持ち主らしき人
追いかけて
来ないし。」
「そぉーよ!
愛梨。
だいたい、
もし大切だとしても
あんな 高い所
に あるハンカチ、
取れるわけない
でしょ?
ほら。分かったら
教室に戻るわよ?」
『……。』