学園Princess
「「えっ!?」」
と
篠崎さんも原西さんも
声を揃えて
驚いていた。
そして
「き、木に登った。
って。
こんな大きな樹に
登ったの?」
と 唖然としながら
原西さんが
私に 尋ねたので
『あっ、はい。
そのハンカチ、
誰かの大切な物だと
思ったから。』
と 私が答えると
「……ありがと…。」
と 篠崎さんが
恥ずかしそうに
呟いた。
愛想よくて
誰とでも会話
するような
原西さんと違って、
あんまり
言葉を口にしない
篠崎さんに
礼を言われて
なんだか
少し嬉しかったので
自然と頬が緩んだ。
と、急に
原西さんが
思い出したように
「あっ。
なんでさ、
このハンカチが
大切だ。って
わかったの?
ただのハンカチだし、
誰も追いかけて来ない。
なのに
よく《大切》だ。
って分かったね。」
『あぁ。
それは、刺繍で、
大切な物なのかな?
って。
そのハンカチが
舞っている時、
ムーンダストの
刺繍が目に
入ったから。』
「ムーンダストって
これ?」
と 言いながら
篠崎さんの持っている
ハンカチの刺繍。
紫色の花を指差す。
『はい。
ムーンダスト…。
紫色の花で
その、はな…』
と言っている途中で
♪ キーン コーン
カーン コーン♪
キーン♪ コーン
カーン コーン ♪
と 鳴り響いた。
「あっ。
予鈴鳴ってるよ!
次の授業、
始まっちゃうよ!」
と 海夏が
言い、
「ほら。
愛梨行くわよっ!
先、失礼します!」
と ゆみが
篠崎さん達に挨拶を
して
私を引っ張って
走りだす。
しばらくして
教室にたどり着く。
『そぉいえばさ。
あの二人も、
ここのクラスだし
一緒に帰って来ないと
授業に遅れ
ちゃわない?』
と 疑問に思った事を
口にしてみる。
「やっぱり馬鹿ね。
あのさ 愛梨。
あの二人の方達に
注意できる立場の
先生がどこに
いるの?」
『あっ。そっか。』
と なっとくした。
立場上、
あの二人に注意
出来る先生は
誰もいない。
だから、授業に
遅れても何一つ、
問題はない。と
言うことであった。
それから2、3分後
に 先生が来て
午後の授業が
始まった。