学園Princess
「愛梨ちゃん。」
祐斗が私の名前を
呼びながら
近寄ってくる。
それに気付いたのか、
竜也の手が
私の頭から離れる。
{寂しい…}
そう思った。
「愛梨ちゃん?」
『ん?』
「あのさ…。」
『うん。』
「えっと…。」
『どしたの?』
「…。」
口ごもる、祐斗。
その様子をみて
後ろの方で
クスクスと笑っている
ゆみ と 海夏。
『? 祐斗?』
「愛梨ちゃん!
今週の土曜日、
俺と
デートしてください!!」『えっ?』
「都合、悪い?」
祐斗が 言うと
「悪くないわよねー?
今週の土曜日は
愛梨、バイト
休みだったと
思うしっ☆」
ゆみが
後ろの方から
大声で言う。
{デート…。
…………。
デートすれば、
竜也の事、
忘れられるかな…。}
「駄目かな…。」
『いいですよ☆』
「えっ?」
『デート!
楽しみにしてますね?』
「マジ?
良かった~!」
「良かったな。祐斗。」
竜也が穏やかに
微笑んで言う。
祐斗は
そんな竜也に
一瞬、驚き、
「あぁ!」
と 笑い返す。
{なんでだろ。
竜也が
《いってらっしゃい》
みたいな顔で
微笑む姿…
見たくない。}