学園Princess


水族館。

祐斗が連れてって
くれた場所は
水族館だった。

『見て♪
この魚、可愛いよっ♪』
水槽を指すと、
「ほんとだ!
小さいね?」
『うん!』

魚やショーを見て、
屋上のテラスで
休憩中。

『祐斗?
連れてきてくれて、
ありがとっ♪』
「ははは。
嬉しいな。
愛梨ちゃんに
喜んでもらって!」
『すっごい嬉しい♪
私、水族館に
来たの 初めて!』
「そうなの??」
少し、驚く祐斗。

そう。
私は水族館に
来た事が無かった。
普通は、
両親と来たり
するんだろうけど
私には両親なんて
いないから。
もちろん、
御祖父様と
来た事もない。


「愛梨ちゃん?」
『ん?』
「どうかした?」
『えっ?なんでー?
そんなこと無いよ?』
「そ?
じゃあ、俺、
飲み物
買ってくるわ。」
『うん☆
分かったあ☆』
自販機に向かって
走ってく祐斗。


「ままー?
あれ ほしーい。」
と 言って
風船を指差す
女の子。

フと、私の席の
向かい側をみると
一組の家族がいた。

「さっき、
大きな ぬいぐるみを
買ったでしょ?」
「そぉだぞー?
さっき、
買ったんだから
風船はダーメだっ。」

説得する
お母さんとお父さん。
「えーっ。
やだーぁ。
あれ ほしい。」
「諦めろ。な?
代わりに、パパが
たかい たかい
してやるから!な?」
「たかい たかい?
やったぁ!
パパやってー」

嬉しそうに喜ぶ
女の子。



理想の家族。
そのまんまの
光景だった。
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