雪女の背に続け

酒呑島を手中に収め、勢いに乗るために冬矢が次に向かったのは、母の故郷の白魔山。
付き添いとしてすずめを連れて、山を登る。


「ここが白魔山なんだね」

「ああ……。俺も来るのは久しぶりだな」

極度に気温が下がり始める登山。雪女達の集落が近い事を感じさせた。
白に覆われて行く山。動物たちは立ち寄らないほどに寒くなる。

「冬兄のお母さんはここの妖怪なんだよね」

「ああ」

山を登ってゆく。
何を考えているのだろうかと、すずめは冬矢を見上げていた。
表情は、何も変化を見せない。


目の前に迫る妖気を肌で感じ始める。
季節外れの雪が降り出す。すべてを白く染めていく。



「……もうすぐ着くかな」

「多分な……」


降りしきる雪は、二人の足跡を消してゆく。
すべてを塗り替える白の世界に誘われて、二人は進む。


白に包まれた山に確かに存在する集落。
雪山で恐れられる存在、雪妖怪たちの集落。



今から、女王と対面する。



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