雪女の背に続け
女王の口元に笑みが広がる。
勝ったと確信した。
恭子は呆然と泉をただ見つめる。
音が聞こえる。
――ピキピキ……
あたりが急速に冷えて行く。
それに伴い、女王の口元から笑みが消えた。
何が起きたのか分からない。いったい、何が起きたのか。
泉は瞬く間に氷が張ってゆく。
白い世界に塗りつぶされていく。そして……
――パァンッ!
泉を覆った氷がはじけた。
その中心に、人影が見える。
「……寝てた」
ぼそりと吐き捨てる。
光の一切を通さない闇のように黒い髪、
それと相反する汚れのない純白の肌。
その黒白にひとつだけある紅。
冬矢がそこに立っていた。