獅子の生きる道
「それ、その紋章盤にはさまざまな力が含まれている」

「ほう」

俺は紋章盤を眺める。

「まず、パスポートは期限付きだけど、紋章盤に期限は存在しない」

「魔界のパスポートだと?」

「あなた、ここに来る際に何か使わなかった?」

俺は狼達を始末した時に拾った四角いカードを思い出した。

「あれか」

「あれには期限があって、一度使うと魔力を補充しなければならない」

「じゃあ、何か?このパスポートだけじゃ自由に行き来できないというわけか?」

「そう、帰ろうと思うのなら一度パスに魔力をこめなければならない」

面倒な話だ。

「でも、王の紋章があるのなら自由に帰れるわよ」

永久パスか。

そんな話をしていると、ネロの事を思い出した。

夕飯の事を考えると腹の虫がなる。

一度家に帰るのも悪くはないな。

「それだけか?」

「いや、その紋章には他の地域に行くためのパスにもなるんだけど」

「手形か」

「そうね。でも、王と認められた者以外が他の地域に行くためには、一つの紋章盤だけでは功績とは認められないの」

「紋章盤一つでは駄目か」

「そう、人間の貴方なら、丁度紋章盤三つだね」

「そうか」

今は他の地域の事を考えてない。

焦ってもないので、すぐに他の王の場所に行く必要もないだろう。
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