獅子の生きる道
「それ以外に使い道はないのか？」

「私は王じゃないから、それ以上の使い道はわからないけども、もしかすると、ほかにも使い道がある可能性もあるわ」

「分かった」

俺は立ち上がり、紋章盤を懐に直す。

「あら、もう行くの？」

「腹が減ったんでな」

俺は情報屋から出ると、魔法陣へと向かった。

人間界から来た場所と帰る場所は同じのようだ。

「こっちは夜になってるんだな」

夜の虫が鳴き続けるところ、向こうの世界と代わりはない。

魔法陣から遠ざかると、すでに狼達の死骸はなくなっていた。

夜でもモンスターに変化はなく、襲ってくる。

これも難なくクリアし、家の前までたどり着いた。

家には灯火が宿っており、食事の匂いが鼻に届いた。

今日の料理は、ナツメ肉のシチューらしい。

ナツメ肉というのはこの世界にいるナツメという豚に似た飼育されている食用肉だ。

近くの街でよく販売されている。

「帰ったぞ」

扉を開けると、耳と尻尾を動かしながらネロが飛んでくる。

「虎！」

ネロが内臓まで響くほどのタックルをしかけてくる。

よく訓練されたタックルだといってもいいだろう。

しかし、腹が減ってるところでのタックルは、体によくない。

「ちゃんと帰ってきてくれたんだね！」

「ああ？まあな」

雑魚王を倒さなければもう少しかかっていたところだがな。
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