獅子の生きる道
目の前にあるのは自給自足で取れた野菜と予想通りのシチューだ。

家前でナツメ肉入りのシチューだと分かったかといえば、ネロがナツメ肉のシチューを作る割合が多いからだ。

だからといって、それに文句はない。

口に合うから以外の理由はない。

「虎」

「あぁ?」

木製のスプーンを置いて、ネロは俺を見ている。

「今日、虎は魔界にいったんだよね」

「人間界にいるのに、情報が早いな」

「まあ、ね。それはいいんだけど」

言いにくそうに、ネロは口を噤んだ。

「ジョヴァンニを倒した話なら、さっさといえ」

何度となく聞かされ、正直、言う事すら面倒なのだ。

「ん?もしかして、虎ってジョヴァンニ王を倒したの?」

ネロの反応が思っていたものとズレている。

「そのことじゃないのか?」

「違うよ!魔界って人間にとったらすっごく危ないから、あんまり行っちゃ駄目だよって言おうとしたの!」

「そうか」

心配していただけのようだ。

「本当に、ジョヴァンニ王、倒しちゃったんだ」

ジョヴァンニが死んだという情報までは伝わっていない。

情報の優先度がイマイチわからないな。

「虎、すごいね」

「ああ?あいつが雑魚なだけだろ」

「だってさ、普通に人間が立ち向かっても勝てない相手だよ」

俺の運動神経もあったが、魔剣の功績が大きいといえば、否定しようはない。
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