MUSIC
……恒はれっきとした(?)女好き。
へー…
なんだ?変な女。
まぁ僕も嫌いじゃないけと。一体化する時。
「おいナツ部長なんだから入部決めろよ」
この部活は顧問の先生がいない。
『軽音楽部』は僕達が作った部活だから。
だから他に入るヤツはいなかった。
でも逆にそれは居心地が良かった。
「俺は…どっちでもいーけど…聞くだけ?音楽経験は?」
恒が【音楽経験は?】と書いた。
【ピアノと、ボーカルレッスンを昔やってました。耳が聞こえなくなったらやめたけど】
その時一瞬、本当に一瞬だけど、彼女の瞳に闇が見えた。
…そうだよな。そんな音楽が好きなヤツが難聴になったんだから。
どれだけ心に闇を抱えているのだろう。
音楽がトラウマになったことだってあるかもしれない。
【弾いてみてよ】
これはカケだ。
コイツがどんな弾き方をするかで入部を決める。
【私………】
―――ウソだろ?
すごい音楽が好きなヤツが耳が聞こえなくなる。
それは、僕が思ってるよりずっと―――…