【改正版】好きと言わせて...。
夕日で赤く染まった道を龍と二人、肩を並べて歩いた。



今日あった出来事を互いに話した。




「今日ね、初めて裁縫関係の専門店に行ったんだ。」



あたしは興奮気味にお店について話し出した。




「へー。で、どうだった?」



「もーすごいの!見たことのない色の布とかあってね、テンション上がっちゃった。」




「まぁ、愛は裁縫とか得意そうじゃないからそういう店は無縁だしな。」




フッて鼻で笑った龍。




「失礼なっ!裁縫は人並みに出来るわよ!」




「どーだか。愛は期待を裏切ったことないしな。」




「いつそんなことがあったのよ。」




「そーだな。小学校の時『あたし二重飛び出来るようになった!見てて!』って言ったから見てやったのに。愛は縄を・・・・」




「わーー!それ以上言わないで!」




あたしは慌て龍の言葉を遮った。




思い出した。って言うか、忘れたい過去だよ・・・。



縄が鉄の支柱に当たって跳ね返り、それがあたしの顔を直撃したなんて。忘れてしまいたい。




「今回も期待してるよ。じゃーな。」




頭をポンと叩かれた。気付かぬうちにあたしの家に着いていた。




あたしに背を向け来た道を引き返す龍。



「ありがとうー、龍ー。また明日。」




言葉の代わりに手を挙げる龍。




そういえば龍の家って、学校から帰る道の途中で曲がらないといけないよね?あたしはまっすぐだけど。



それなのに龍は何も言わずあたしを家まで送り届けてくれる。



改めて龍の優しさに気付いた。




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