【改正版】好きと言わせて...。
放課後劇の練習をするようになってから、二人でいることが増えた拓也と美園。


周りが付き合ってるんじゃないかと噂するほどだ。




付き合っているのかどうか確かめたい人は、あたしに聞いてくる。




「ねぇ愛!安達君と美園ちゃんって付き合ってるの!?」




ほら来た。




「付き合ってないよ。劇の練習で仲良くなっただけだよ。」




あたしは毎回同じ返答をする。




ただ仲が良いだけ。




自分にそう言い聞かせるように。




「よかったぁ。あたし美園ちゃん相手だと絶対勝てないもん。」




その子の目線が動いたから、あたしも同じように動かした。




目線の先には笑い合っている拓也と美園がいた。




その姿を見ると胸がチクリと痛む。




それに、心を黒い影が侵食してきたように感じた。





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