年上旦那様
「じゃあ、俺の熱が下がったらな。」
漣はそう言って私の頭を撫でた。
優しい手……と思いながらも、その意味を理解した私は、顔を赤らめずにはいられなかった。
それを感じ取った漣は意地悪い笑みを見せた。
「何?今さら照れてんの?ゆゆが言い出したんだけど?」
「わ、わかってるけどっ…」
でも、恥ずかしいもんは恥ずかしいよ!
「今すぐじゃないんだから、今照れなくてもいいだろ。」
それはそうなんだけど……
あー、ダメだ!
このままここにいたら、漣にいいようにからかわれるだけだ!
「わっ私、洗濯してくるっ!漣は大人しく寝ててよね!」
私は、空になったおかゆの器を持って立ち上がった。
「はいはい。」
漣はあきらめて気怠そうに返事した。
ほんと、こっちの熱が上がってきちゃうよ…。
漣が布団にもぐって目を瞑ったのを確認してから、
静かに寝室を出た。
寝室のドアをパタン…と閉めた瞬間、
ふーと溜め息が出た。
熱がある漣は危険だわ。