あたしの勇気の話





「じゃ、お疲れさま」

試験会場をでてから少し、2人と一緒に歩いた。
特に会話もなかったけど心地よかった。


「えっ、夕飯食べないの?」

「えっ?」
「あれ、いってなかったっけ」
「なにも…」

「せっかくだし、一緒に夕飯たべようよ」


あたしは大きく頷いた。
「ぜひとも!」

あたしは、もう少しだけ
このキミの隣にいたいという欲が、いつの間にかうまれていた。



「そうなの!?」
「知らなかった!?」


少し話せば分かっていたのに、
でもその少しがなかった為に知らなかった
お互いのこと、たくさん知ることができた。


近くにキミがいて
キミがあたしの名前を呼んでいて



今日、まつげをあげておいて良かった。
髪の毛、きれいにまとめられて良かった。
英検、受けて良かった…



「じゃぁそろそろ帰ろうか」
「ん」
あたしはあたかも寂しそうな声を出したのか、

「それとも、河川敷で少し喋るか」

「う、うん!」



「やっべ、俺店に携帯忘れた」
富田くんがポケットに手を突っ込んで言った。

「わり、すぐ河川敷行くから先行ってて」
「一緒いくか?」
「一人のほうが早いから、大丈夫だ。じゃっ」



「い、行くか」
「そうだね」


少しぎこちなく二人きりで歩く。


ねぇ、この時間が今日しかないなら
言ってしまおうかな。

あたしの気持ち、知ってもらおうかな。





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