あたしの勇気の話
「…ねぇ」
「ん?」
河川敷の芝の上に寝転がる。
星が、たくさん光っていて、
まるで世界にはあたしとキミしかいないんじゃないかと
疑いたくなるような。
「ねぇ?」
もう一度呼ぶと、今度は顔をあたしの方に向けた。
「どうしたの?」
横になった状態で目が合うのは少し照れる。
でも点々とした街灯だから、相手の顔の表情も
そこまでは見えない。
「あたしね、小浪くんと初めて喋ったの、文化祭なのね」
「うん。知ってる」
「でね、今日たくさん喋って、小浪くんの知らないところたくさんあった」
「俺も片上さん、ここまで楽しい人だとは思わなかった」
「小浪くんのこと、全然知らないくせに、あたしね、小浪くんのこと、好きなんだよ。ずっと、好きだったんだ」
「えっ…お、れ?」
「うん。俺。あっ、でも返事とかいらないし明日からも今まで通りで良いの。
ただね。今日とか、二次会場をあたしに聞いてくれたときとか
そんなの重なるから、
あたし自惚れちゃったみたい」
「…」
「…またね。また明日。逃げるんじゃないよ。ただ、気まずいでしょ。富田くんによろしく。今日はありがとう。小浪くん」