あたしの勇気の話





「やっぱり、いた」
「えっ」
私は昨日の河川敷に来ていた。
自然と足が向いてしまったのだ。
そして小浪くんが、またここにいる。
乱れた髪の毛。切らした息。


「今日、いつもみたいに目が合わないんだ。
俺が、好きな子と。
話したこともあまりないけど、ずっと好きな子が、いつもみたいに笑ってないんだ」
「意味、わかんないよ」
「うん…。そうだよね」
「ごめん。なんか、泣きそうだから帰る。ごめん、こんな未練たらしくここに来て」
「待てよ。分かるだろ?」
「何が?何も分からない」
「っ…。だから、俺が好きなのは」
「ねぇ、小浪くん。あたし、長瀬さんのことを話してる時の小浪くんの顔、知ってるよ」
「な、んで、長瀬がでてくるんだよ」
「だって、小浪くんの好きな人、でしょ?」
「あれは、…ただの悪ふざけで…別に好きとかじゃ…」
「返事はいらないって言ったでしょ。小浪くんも、あたし見習ってよ。自分の気持ちに正直になって。
じゃぁまた明日」






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