ﾘｾｯﾄ～全ての始まりをここへ～

「いっただきまぁ～す♪」
「藤河、乾杯もせずに食べるつもりか？」
「す…すいませぇーん。」
料理が運ばれて、早速食べようとしたADの藤河さんに監督が笑顔で聞く。
藤河さんは右手で頭を掻きながら、左手を顔の前に立て笑顔でヘコヘコと頭を下げる。
その瞬間、その場がドッと笑いに包まれる。
「監督、お注ぎします。」
私は笑顔で監督にビールを進めた。
「お？気が利くなMADOKAは。
お前らもMADOKAを見習えー。
中学生のMADOKAがやってんだ、大人の恥だぞー。」
注がれたビールに満足そうにした監督がスタッフ達に言った。
「あらあら、MADOKAちゃんがいたら、私達はお役御免ね…。
あたしもMADOKAちゃんを見習わなきゃね。」
メイクのケイちゃんが低くドスの効いた声で、口元に手を当てて笑う。
ちなみにケイちゃんは男だ。

俗に言う『お姉系』の人だ。