Reality~切ない恋の唄~
出口には、
先回りして私が出てくるのを待つ大勢のファン。

その人たちをすり抜けて、車は発信した。



車の周りには、
若い男の子や女の子が群がっている。



私はいつの間に
こんなに有名になってしまったんだろう。

私は何も変わらないのに、
周りがどんどん変わっていく。



歌手として有名になっても…

私の心は
龍二先生に叱られてばかりの駄目な生徒だった頃と全然変わらない。



不思議な気持ちで、
その景色を眺めていた。



その時、
歩道に立つ人影に気がついた。



グレーの帽子に
薄茶色のサングラス…



「止めて下さい!」

私は座席から立ち上がった。
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